川崎市動物愛護センター訪問レポート 2011年10月12日(水)
この日は、バジルで川崎市動物愛護センターに訪問いたしました。先月、「ペットと一緒に地域作り」というイベントに参加した際にお話を伺いました、所長の角さんに案内していただきました。この施設は、川崎市の管轄で、動物の犬猫等の譲渡や啓発活動、あと収容動物の健康管理、あと殺処分もこちらで実施しております。
南武線武蔵新城駅からバスで数分のところにありますが、意外な事に、周りは、かなりの住宅街です。大抵、殺処分をする施設の場合、近隣住民から反対されるので、こんなに住宅に囲まれてよいのかと思ったのですが、やはり予想通り、この施設の前身の犬抑留所が建てられた昭和20年代は、周りには住宅はなかったのですが、その後、周りの市街地化が進んで現在のような状態になったそうです。
川崎市は人口100万人以上の大きな都市ですが、そのわりには、こじんまりとした施設でした。以前と比べ、持ち込まれる犬猫の数がかなり減っているので、これくらいの施設でも大丈夫のようですが、やはり多い時と、そうでない時とがあり、多い時は、猫屋敷のようになってしまう事もあるとか。川崎市は、犬猫以外の動物も保護する事になっているため、この施設には、犬猫以外の動物も収容されてました。ちなみに建物は、地下がなく、地上2階建てです。昭和40年代に建て替えされた施設なので、建物の中は、古さを感じさせる作りではあります。
川崎市では、現在でも炭酸ガスによる殺処分機による処分を行ってますが、麻酔を使用した方法と両方で行っているそうです。最近行政も変わってきたのかもしれませんが、こちらの施設は、とてもオープンで、殺処分機も含めて写真撮影OKとの事なので、殺処分機も撮影してきました。現在は、この施設での殺処分数は、川崎市全体になるのですが、処分機と麻酔とを合わせても年間30頭くらいだそうです(多分、犬だけの話だと思いますが)。なので、以前、スライドで見たような、複数の動物を押し込んで、一斉に処分するような方法は取ってないそうです。
所長さんの話によると、麻酔だからと言って、決して安楽死ではないそうです。麻酔薬を打てば、注射ですから痛いわけで、その苦痛があります。また暴れる動物については、麻酔が打てないので、どうしても殺処分機を使用するそうです。処分機には、職員が機械に押し込むそうで、その職員の方の精神的な苦痛も相当なものだそうです。あと処分の際の炭酸ガスの注入量をうまく調整すれば、意識がなくなってから酸欠になるため、苦痛を少しでも和らげる意味で、そういう方法を取っているそうですが、他の、処分数が多い地方などでは、処分をどんどんしないと追い付かないので、流れ作業的になってしまっているところもあるそうです。うーん、命を流れ作業で処理してよいのか。。。と感じずにはいられません。その場合、炭酸ガスの量の調整などもままならず、そうすると、意識がなくなる前に酸欠状態になって、動物が苦しむ羽目になるそうで、それもとてもつらい事です。神奈川県は、全国レベルで考えると、かなり進んでいるようですが、地方にとっては、まだまだ遅れているところもあり、担当職員の取り組む姿勢によっても、地方によって、かなり差があるのも事実のようです。
最後に、”殺す”という行為自体は、安楽死であろうがなかろうが、絶対によくない事であることは、間違いありません。その”殺す”という行為を行政が行っているわけで、その理由から行政が全部悪いと考えてしまう人もいるようですが、実際には、そうではなく(行政にもいろいろ課題はあると思いますが)、持ち込まれる犬猫の数が多い事が問題なのであり、結局、その元というのは、不必要に産ませているという現状があります。つまりその元を絶たないと、根本解決はないと思います。その根本解決として、不妊去勢手術の推奨と、来年度の動物愛護法の改正で目玉になっている、動物取扱業への規制強化です。8月で締め切られた環境省への動愛法へのパブリックコメントは、もの凄い数が寄せられ、環境省の方も、処理できずに、かなり混乱しているというニュースの記事を見ました。動物愛護法の改正は、今回を逃すと、またしばらくできないので、なるべく愛護団体が希望している改正案が多く可決するのを願わずにはいられません。